自宅で電気設備の安全点検を受けました

生活

こんにちは、第一種電気工事士のふみです。みなさんは電気設備の安全点検を受けたことはありますか?

我が家は先日、電気設備の安全点検を受けました。

私が住むマンションは電力一括受電なので、安全点検は東京電力ではなく、高圧一括受電サービスの会社が安全点検をしました。
安全点検では漏洩電流測定がありましたので、電気設備の安全点検と、漏電に関することを合わせて紹介します。

住戸電気設備安全点検

訪問日のお知らせ

住戸電気設備安全点検の案内が事前に届きました。

点検内容は次の通りでした。

在宅時屋外点検
漏洩電流測定
ホーム分電盤の点検
問診
不在時屋外点検
漏洩電流測定

電気点検は不在でも実施されます。

電気点検の立会い

作業員の方が訪問したら、玄関の電気をつけます。

はじめに、作業員の方は屋外の電力メーターの収納スペース(EPS/Electric Pipe Space)内の状態を確認しました。
次に、玄関の上に設置しているホーム分電盤を開けて、外観チェックと漏洩電流の測定をしました。
絶縁抵抗測定(メガー)はありませんでした。

最後に印鑑を押して、電気点検は終了しました。

漏電の種類

電気が電路(電気回路/電気の通り道)以外のルートに流れ出ることを漏電といいます。
漏電には様々なタイプがありますが、今回実施した漏洩電流測定や、漏電遮断器(漏電ブレーカー)で検出できる漏電は、ほぼ地絡のみになります。

絶縁不良

電線の被覆が損傷して、電線内部の銅線が電気機器の外箱や雨水等の導体(電気が流れる物質)に接触している状態を絶縁不良といいます。
この時、電気機器に緑色の電線(接地線/アース線)が接続されていないと、外箱や水に触れたときに感電する危険があります。
絶縁不良は電気工事の施工不良(作業ミス)や、設計ミス、電線の経年劣化、ネズミが電線をかじる等が原因で発生します。

ちなみに、電線をかじって感電死したネズミの死体から漏電しているときは、漏洩電流測定や漏電遮断器で漏電を検出できませんが、火災の原因になります。

地絡

電路の白い電線(中性線)はアース(大地)に接続されています。(B種接地工事)
また、家電製品に接続する緑色のアース線もアースに接続されています。(D種接地工事)
そのため、電路が絶縁不良で外箱や水等の導体に接触していると外箱に接続されているアース線から電気が流れ出し、大地を経由して電路の中性線まで流れ出ます。このように大地を経由して電気が流れ出ることを地絡といいます。

この時、漏電遮断器(漏電ブレーカー)が接続されていると電路を遮断(トリップ)します。
また、この状態で漏洩電流測定をすると漏洩電流が検出されます。

トラッキング現象

コンセントの隙間に埃(ほこり)がたまって、電気が埃を経由して流れ出る状態をトラッキング現象といいます。トラッキング現象は火災の原因になります。
この時、漏洩電流測定や漏電遮断器は漏電を検出できません

漏電を検出する仕組み

漏電を検知する遮断器とその仕組みについて紹介します。

漏電遮断器(ELCB)

漏電遮断器(漏電ブレーカー)は、零相変流器(ZCT)によって漏洩電流(漏電)を検出する遮断器(ブレーカー)で、電気図面にはELCB(Earth Leakage Circuit Breaker)と記載されます。
零相変流器が一定以上の漏洩電流を検出すると、漏電した(危険な)状態のまま電気を使えないようにするため、漏電遮断器がトリップして電気を遮断する仕組みになっています。

住戸用分電盤は漏電遮断器が主幹(メイン)に使われていることが多い為、1ヵ所でも漏電を起こすと住戸内の電気が全て使えなくなります

零相変流器(ZCT)

最近の住宅は単相3線式(100V/200V)受電で、3本(赤、白、黒)の電線がホーム分電盤に引き込まれています。
家庭に供給されている電気は交流なので電流の向きが常に変化しますが、通常3本の電線の電流のベクトルの総和(行きと帰りの電流の差)は0になります。
しかし、電線以外の場所から電流が流れて(漏電して)いると電流のベクトルの総和が0でなくなります。
このことを利用して、電流のベクトルの総和を測定して漏洩電流を検出するのが零相変流器(ZCT/Zero-phase-sequence Current Transformer)です。

零相変流器は単相2線式(100V)や三相3線式(200V)等、他の送電方式の場合も同様の仕組みです。

漏電ブレーカーが落ちてしまったら

漏電遮断器がトリップしてしまった時の対処のしかたを紹介します。

トリップの原因を特定する

漏電遮断器は過電流が原因でトリップする場合もあるので、まずは漏電遮断器がトリップした状態を確認して、原因を特定します。
漏電が原因でトリップした時は、漏電遮断器のレバーが中間位置まで下がり、漏電表示ボタンが飛び出します

漏電遮断器のレバーが下まで下がり、漏電表示ボタンが飛び出していないときは、漏電ではありません。過電流(電気の使いすぎ)が原因です。
過電流でトリップしたときは、電子レンジとドライヤーを同時に使わない等、消費電力の多い電気製品の使用時間をずらしましょう。
過電流が原因で漏電遮断器が頻繁にトリップするときは契約電流が不足しているので契約電流の変更を検討しましょう。

漏電している回路を特定する

漏電が原因でトリップしたときは、一旦、分岐ブレーカーを全て落とします。主幹の漏電遮断器を投入してから、一つずつブレーカーを投入していきます。
この時、漏電している回路の分岐ブレーカーを投入すると再び主幹の漏電ブレーカーが落ちるので、漏電している回路を特定できます。
漏電遮断器がトリップする直前に電気のスイッチを入れた家電製品の回路が疑わしいです。

漏電箇所を特定する

漏電している回路がコンセントの回路だった場合、延長コードを使って、漏電箇所(電路 or 家電製品)の切り分けをすることができます。
漏電している回路の分岐ブレーカーを落とし、漏電した家電製品まで延長コードで届きそうな、近くのコンセント回路の分岐ブレーカーを落とします。コンセントの分岐ブレーカーがわからない時は漏電遮断器を落として電気を全て止めます。
電気を止めた状態で、漏電していた回路に接続している家電製品を、延長コードで他の回路のコンセントに接続します。この状態でブレーカーを投入し、漏電ブレーカーがトリップしたら、漏電の原因は家電製品です。この場合、家電製品が絶縁不良で漏電を起こしているので、新しい家電製品に交換すれば解決します。

延長コードで回路を変えたら漏電遮断器がトリップしなくなった場合、電路(電線)が原因の可能性があります。
漏電している回路の分岐ブレーカーを落とし、 他の家電製品を接続して、分岐ブレーカーを投入してみます。
他の家電製品に変えても漏電ブレーカーがトリップする場合は、分岐ブレーカーからコンセントまでの間の電路(電線)が漏電しています。
電路(電線)の修繕は電気工事士の免許が必要ですので、電気屋さんに修理を依頼しましょう。

外灯や軒下灯の回路が漏電していた場合は、雨水による漏電が考えられます。雨水が原因の漏電も電路の修繕になるので、電気屋さんに修理を依頼しましょう。

漏電が特定できなかった場合

漏電遮断器は誤動作でトリップすることがあります。漏電遮断器の故障が原因でトリップする場合もあるので、漏電の原因が特定できなかった場合は、電気屋さんに修理を依頼しましょう。
漏電遮断器等、ブレーカーの交換も電気工事士の免許が必要です。

まとめ

  • 電気設備安全点検は不在でも実施される。
  • 漏洩電流測定で検出する漏洩電流は地絡電流。
  • 漏電遮断器でトリップする漏電は主に地絡。
  • 漏電遮断器はトラッキング現象による漏電を検出できない。
  • 漏電遮断器は誤動作でトリップすることがある。
  • 電路の修繕、ブレーカーの交換は電気工事士の免許が必要。

ありがとうございました。

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